WITHOUT SEWING
ルプリ続き。
モードクリエイティビティが変わる。
新しさの規範が変化した。
新しさについてのある種のスタンダードが変わりましたよと。
いわゆるJUST NEWからSOMETHING NEW+OLD NEWへ、そしてFRESH NEWという言葉を入れています。
この根幹は、ファッションクリエイティビティっていうのは単純にイマジネーションのアーカイブで何回のバリエーションを絞り込む、時代の空気感で構築する形、その時にある種のFRESH NEWっていうのを、新鮮さっていうのはそれなりの新しさに繋がりますよね。
今のデザイナーはSOMETHING NEW or OLD NEWもしくはFRESH NEWでしょうねというところです。
あるいは今シーズンのコレクションに多く現れたEPISODO NEWっていう、それぞれが持ち得たエピソードを今の時代感に置き換えてどう解釈するか、単純に言ったら映画のリバイバルだとかリメイク版が販売されるのと同じ発想でモードのリメイク化っていう事になります。
これのネタは全て、それぞれのアーカイブからのバリエーションの選び方のひとつだと思います。
従って基本的なモードクリエイティビティの根幹は、VARIATION OF THE ARCHIVESでしかないですよと。
過去の集積から今の時代の空気感を感覚でセレクトして、そこへ新しさとして、これは大事ですよね。
新しさとして何を加えるか、素材の新しさ、ある色の新鮮さ、プリントの新鮮さみたいな物を一味として加える。
っていう事はニュアンスのデザインが出来れば、洋服って形のデザインよりは物の感覚的な時代の空気感がニュアンスとしてデザインされるのは、これはディレクターの役割ですよ。
大事な作業としては、素材が新しさを象徴するっていうところではプルミエールヴィジョン、1年先の素材を売り込むための年2回ある素材見本市ですけども、ここが発信するトレンドのフレームっていうのがあります。
というのは素材屋さんは1年先の売れるかどうかわかんない素材を作らないとダメなわけ。
そのためには安全パイとして、1年先にはこういう時代感、空気感でこういうトレンドが可能になりますよねっていうのを発信するにはプルミエールヴィジョン、素材屋さんがある。
それを受けて、デザイナーは生地を探しに行くと同じように、プルミエールヴィジョンが発信する1年先のフレームっていう安全パイのフレームを持って帰って来て、それを自分のブランドもしくはアトリエの中で自分なりの世界観にどうまとめあげるか。
これが基本的なプレタポルテデザイナー+ラグジュアリーブランドのデザイナーという人達の仕事。
それをある種のアーティスティックな感覚、時代の空気感がいち早く感じられて、デザイナーよりもディレクターがそういう役割を果たす状況が前に出て来てる。
デザイナーはトレンドを作らないで、単純にトレンドをデザインする役割の方ですよという言い方をしています。
従って、デザイナーよりもアースティックディレクターの方にファッションクリエイティビティっていうのは時代はそちらの方に来ます。
じゃあファッションディレクターになりたいんだって何を勉強したら良いんだっていうところのエデュケーションがほとんどパリでもヨーロッパのどの学校も含めて、ファッションディレクターになるためのエデュケーションシステムが構築されてない。
もしかしたら、これはエデュケーションがカリキュラム化した物が必要なのかどうなのかっていうのがクエッションマークなんですけども。
そこが今、僕流に言ったらひとつの時代のファッションシステムの綻びだろうと思います。
そういうところを飛び越えて、ある種の消費社会とバーチャルなPCの情報量で、Instagramからパクっているブランドっていうのは結構あります。
Pameo Poseっていう、僕知らなかったんですけど、何故知ったかって言ったら、僕が数年前まで1997年のジャンポール氏、僕の親友のパリのこれはファッション出銭されたデザイナーですけども、彼がデザインした一枚仕立てのチェックのアウトソーイングのコートをここ2年くらいこれ見よがしに着てたんですけども、これは全部、着てる時には、パリで本当に色んな人が、エデュケーション、彼を借りてきましたし、写真を撮られた人。
そういう風に全く同じ素材感で今シーズンのアイテムを作っています。
見事です、だからこのブランドを知ったんですけども。
知れば知るほど、このブランドのデザイナーも、ある種のファッションディレクターで、本人はディーゼルをやって、文化出の人みたいなんですけども。
これがこれからは、ひとつの当たり前のファッション産業の新たなポジションになると思っています。
それから基本的な技術開発がなければ、このファッションの世界のクリエイティビティは物のバリエーションの時代が蔓延るだけである。
この基本的な技術開発っていうのは、ひとつは素材における技術開発。
新しい素材をどう使うかっていうただ単純にミシンと針の世界じゃない技術開発っていうのがひとつ大事じゃないですかというところで、たまたま今日着てきたのが、僕が好きなヤン・リー氏ってデザイナーの、ほとんどゴムです、これは。
何故着て来たかっていうとほとんどウィズアウトソーイングなんです。
熱、熱を当ててですね、これを出来るメーカーはドイツにひとついいのがあって。
今まではある種、ゴアテックスなんかの素材をスポーツウェアの中でこういう作り方にこなしていたんですけど、ヤン・リー氏はそれをモードの世界にまで持って来てるって意味で僕は面白い、僕が死ぬまでに1回やりたいコレクションはずーっと前から思ってるんですけど、それはラバーコレクションで、パリのアムステルダムに行ったのもラバーコレクションを作るための技術としてボンテージのラバー物の縫製工場っていうのをどっか調べようと思って行ったんですけども。
それがある意味ではヤン・リーのコレクションの中にも既に落とされていた。
これを彼に話して譲って貰ってきたんですけども。
ここぐらいまでは僕流に言う技術開発。
これをもっと応用化すればウィズアウトソーイングの世界は出来るぐらい、ウィズアウトソーイングっていうのは可能になる。
ウィズアウトソーイングに一番近いブランドが実はコム・デ・ギャルソンが立ち上げている新しいノワールってブランド。
本当に、ある種のウィズアウトソーイングを自分のコレクションの中に落とし込んでいます。
それなりのコレクションピースを二宮氏っていうんですけど、アントワープ2年中退で最終的にコム・デ・ギャルソンに入って2年前ぐらいからかな、ノワールっていうギャルソンのお荷物ブランドがひとつあるんですけども、ほとんど使われてない、埃まみれのブランドをあてがれて、彼なりに出発、その方向性がひとつのウィズアウトソーイング。
だから、僕が何故ウィズアウトソーイングプロジェクトをやったのかっていうと、根幹の技術、ベースって言うんですか、服を作る=ミシンと針と糸じゃないと縫えない、ここから外れたところで身体に装着する物を作る事のこれからのファッションの出来る可能性として、新たなカテゴリーになるだろうと。
もうひとつは、着る側の女性達、男性も含めて、ボディシルエットが続々と綺麗になり始めた。
ボディタイツを着る事によって後は自分が外す事、もしくは見せるところ、パーツオブボディをデザイン化する。
それがひとつのファッションの新しさになるんじゃないかと。
若い人に向けての提案があります。
これを日本でやっているのはノワールっていう、この僕の考えの発端っていうのは我々イエローの歴史を見たら、戦国時代の甲冑の世界があります。
戦国時代の武将が身に付ける世界、あれはウィズアウトソーイングです。
当然ミシンがないですから、ほとんど素材が竹、革、メタル、布、当時の日本の工芸的な要素が全部あるわけです、漆、鞣し。
それぞれの素材をそれぞれの工芸的なこなしでひとつの世界を構築するのが甲冑です。
出来れば先端のファッションを自負する人達も一度、甲冑の世界をひとつ目にするのもこれからの皆さんの世代の新しさになります。
そういう事を二宮氏に話をしたんですけど、全く彼もある意味では、僕のように意識を持っているわけではないんですけど、彼が目指すところはある種のウィズアウトソーイングです。
っていうところでは、単純に物のバリエーションの世界からどんどんどんどん広がれば広がる程、ある種の閉塞感、実質的な閉塞感を感じる世界になる。
それを脱却するためには自分なりの新しさとしての何か、全く考え方から新しさをやっぱり変えていかないと、全てバリエーションの世界になりますよね。
っていうのが僕の現代の視点です。
出来るだけ、ウィズアウトカテゴリー的な、くっ付けてもくっ付かないような二者をどうくっ付けるかかの方が新しさを生む可能性がありますよね。
技術開発ていうのはいつの時代でも新しさを作る根幹的な大事な要素である。
それが今は単純に素材に売れどころっていうだけじゃないですかっていうのが僕の今の最もファッションクリエイティビティの目線です。
物のバリエーションの世界に意味性と嗜好性と時代性を味付けするにはエモーションやノスタルジィと、ある種の日本人が得意な妄想力がキーワードとなるでしょう。
妄想力っていうのは今大事な事。
あらゆる事が消費社会の中でバリエーション化されていく中で、どう妄想を広げる事によって自分のひとつのファッションのバイタルを、それが漫画の世界であったりっていう唯一日本だと思うんで、漫画の世界、妄想力っていうのは日本人が特化した結構これからのクリエイティビティの大事な。
もうひとつの確実な新しいってなったスローファッションの進展であろう。
使える物は使うをコンテンツにした感覚と技によって、これ、ここにも感覚と技っていうのが大事です。
これは古い物のリメイクをしても感覚と技がなければ、着れるリメイク物にはならないですよね。
リメイク物もある意味では自己満足の世界のリメイク物が多い。
このリメイクに関してある種、スローファッションっていうカテゴリーを新しく持てば、ここも日本オリジナルの、世界のファッション経験の中では新しく戦える可能性がある。
例えばファッション学校に入学して専科っていうのがあるかないかっていうと事になりますよね、ないです。
リメイクする世界と新しい物のタイアップ、聞いた事はないですし。
アートディレクター=ファッションディレクターの世界、ファッションディレクターを養成するそれなりのエデュケーションシステムがないっていう事と、これからスローファッションが新しいひとつのファッション産業のカテゴリーになるんじゃないか。
スローファッションをビジネスにするためのエデュケーションシステムも今はない。
時代がどんどん先に新しく過ぎて行くのに、教育の場が追い付いていない。
その分だけその世界は可能性のある。
区切ります。
文章に起こす時に滑舌の問題で多々異なるところ、省いたところがあります。
平川氏が着ていたゴムのジャケット。
仕立ては本当にスポーツウェアみたいな感じでした。
個人的に驚いたのは軽さと柔らかさ。
軽さって言っても普通のジャケットよりも軽い程度ですが。
柔らかさは、パリッとしてるけど、マッキントッシュとかに比べて遥かに柔らかい。
って感じで続きます。