ラッピングペーパー
今の時代におけるデザインすることとは。
基本的には僕はファッションの世界は普遍的な色んなコードをレイアウトする事がファッションデザインする事であると。
色んなコードがあります、そのコードの中のひとつに機能性があったり、生地があったり、モデルをどうするかっていったり色んな決まりを含めたコードがあります。
そのコードをそれぞれがどういうコードを使ってどういうコードを省略して、コードをどういう風に今の時代感、空気感にいわゆる落とし込むか。
これ=僕流に言ったら、ファッションデザインするっていう作業になると思います。
そのコードをどれだけ仕入れるか、それを頭の中で仕入れるか、自分が持ち得ているリアリティから仕入れるかの違いで、かなりその深みが当然変わって来ます。
時代の空気感をデザインし、ライフスタイリングのニュアンスをデザインする。
これが多分デザイナーとディレクターの大いに異なる部分だと思います。
それらをデザインするための時代の感覚的新しさとは、リアリティをイメージングする事で、結局絵に描いた餅をデザインしても、もうそれはみんなが絵が描けますよね。
もしかしたらそれなりの中で自分達の生活、ライフスタイルがあるから、ライフスタイリング、自分達が持ってリアリティとしてのライフスタイリングから何をイメージングしたら新しさに繋がるんですかっていうところです。
かつてはイメージが優先してイメージをどうリアリティ化するか、それが自分達の持ち得るあり得るべきライフスタイリングだったんですけども、これがイメージとリアリティが逆転、従って時代の感覚的新しさとしては素材+色+プリント=質感=3D感が形骸的なデザイン性よりも、プライオリティを持つ。
だから色んなコードの中で何を自分なりにプライオリティとして重要だとして、そこをどうリライトするかというところに長けている人が多分ディレクターだろうと思います。
ビジネスを考える場合はトレンドを自分達のマーク&ブランドの世界観とイメージでデザイン。
結局もうひとつはリアルな事でいくと、ファッションディレクターがするべき事は、トム・フォード氏がやったように、自分達のマーク&ブランドの世界観をどれだけイメージング化するか=アーティスティックディレクターをするか。
今、例えばラグジュアリーブランド=パリの老舗ブランドが出しているラグジュアリー、ディオールのプレタもそんな感じですよね。
この辺はみんな、ある種の僕流に言ったらそれぞれのブランド、ラグジュアリーブランドのラッピングペーパーです、包装紙です。
というのはちょっと古い話を、パリのジャーナリストも日本のジャーナリストもじゃぁ今、ラグジュアリーブランドで世界で一番売上を上げているのはどこある、どういうランキングになっているのかってほとんど知らない。
僕はこれEFMの図書館に行って2年前かなんかに調べた時に出て来た資料が2010年ぐらいだったんですけど、2010年で一番はシャネル、二番がディオール、三番がヒューゴ・ボス、これはヒューゴ・ボスというのはドイツの巨大なアパレル企業です。
その中で面白かったのが13番目に僕達が自慢出来るコム・デ・ギャルソンが世界トータルの番付として入っていると。
シャネルやディオールやそれぞれのブランド、ほとんど皆さんが知ってるラグジュアリー系のブランド、その中の売上の、実際衣料品で売っているのは3分の1足らずです。
あとの3分の2はファッション以外で儲けてる。
彼等はファッションで、クリエイティングをして、パリコレを見せて、そのイメージの下で自分達が作る、コスメ、靴、バッグ、これがラグジュアリーブランドビジネスが大きくなった2000年に入ってからの彼等のビジネスである。
これは今も変わってなくて、ますますファッションはそれぞれのラグジュアリーブランドマークのラッピングペーパーでしかないですよ。
ファッションブランド、それぞれのラグジュアリーブランドはファッションを発信していますけども、結局それは売上の3分の1足らずですよと。
あとの3分の2はファッションでイメージングしたラッピングペーパーでラッピングされた包装紙で包装された物を売れば売れるんだよねってこのビジネスの略に変わって来てます。
より大きな、だから僕は冒頭にファッション産業っていうのは広告産業ですよって言い切ったのはその通りです。
そういう意味でいくと、自分達のマーク&ブランドの世界観をどうイメージングでアースディレクションするかもこれからのファッションディレクターのみっつ目の大きな役割となる。
このアーカイブを時代の空気感なり、ニュアンスでチョイスする、今、何を、古い物を選んできて、それを今なりの素材感に置き換えて、今なりの洋服で今なりのプリントを持って来て出せば新しさになるか。
これが例えばラフ氏の一番大きな仕事になります。
彼がやっている事は全てその範囲でしかやっていない。
続きます。