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共感と未来を読むこと

ファッションは共感です。ファッションデザイナーの仕事は未来を読むこと。そんなデザイナー2人に言われた言葉。ファッションとお洒落がメインです。

ファッションの裏側とコストと現実

皆さんが着ている洋服の値段はいくらですか?

さて、こんな話題いきなりしたのはファストファッションの暴露映画に凸してきたよ。って事で。
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この映画、2度見たから。
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同じ映画を映画館で2度見るってとても珍しいです、個人的に。

今回はそのレポ。
とても長いです。

内容的にはファストファッション:クローゼットの中の憂鬱というこれもファストファッションの暴露本なんだけど、それと同じ様な内容です。

被る箇所も勿論多々ありました。

さて、映画のネタバレにもなりますが、書きますね。



ファッションの基本ルールの流れは皆さんが知ってる通りSSとAW。
知らない方のために書くと春夏と秋冬という大きくふたつにわかれています。



アメリカでは1960年代、国内生産の洋服が50%でした、それが現在ではたった3%です。



さて、世の中の服はデフレです、しかし生産コストは下がっていません、むしろ上がっています。



上記したSSとAWの年2回のシーズン、この構図はぶっ壊れています。

現在では52回。
つまり毎週変わります。

映画で名指しされていた企業を上げるならForever21、H&M、GAP、ZARAユニクロ等。



こうなった理由はグローバル化、TPOに合わせて制作地を選ぶ事が出来ます、あくまで企業は。

他の店がシャツを5ドルで売ってる、うちは4ドルだ→じゃうちは3ドルで→出来ない?3ドルじゃなきゃいらないよ。

生産工場は仕事が欲しいから受けるしかないっていう負の悪循環が出来ているのが現状です。



さて、何故こういった問題が表面化してきたのか?

ひとつの事故があります。

ダッカの8階建てのビルが崩壊。
最終的な死者は931人に。

この事故で両脚を失った女性がインタビューに答えていました。

崩壊前、ビルにヒビが見つかり、経営陣には報告していました。
このビルに入っている他の業種は避難したと言います。
ファッション業界だけは、経営陣から戻れという命令が。

そして戻った結果がこの事故です。

この事故で亡くなった方の平均的な日給は2ドルだと言われています。



さて、この事故を受けてここに入っていた企業の売り上げはどうなったでしょうか?どうなったと思いますか?

皮肉な事に過去最高の売り上げを記録します。
理由は一概には言えませんが。

何故こんな無茶が出来るのか?

答えは労働組合が存在しないんです。



この映画で最も心に残ったセリフ。

『何故、巨万の富が生まれていながら、生活が保障されていないんでしょうか?』



ファストファッションの工場の事を搾取工場とも呼びます。

アメリカ人の為に洋服を作るのが可哀想?



これは経営側からの発言です。

『アメリカ人にとっては劣悪な環境でも、自ら選んでそこで働いている。ガス、石炭に比べたらマシ、テレビを見ているアメリカ人からしたら、劣悪でも、現地では他の仕事よりマシ。』

これは世界共通の言い訳です。

コンセプトがあっても、誰が作って食べていけるのかまでは考えない。



生産者4000万人のうち、400万人がバングラデシュ人です。
そのバングラデシュでは1日3ドル以下の給料。

これが現実。



不信感を持つな、雇い主が給料を出しているから尊敬しろ。

インタビューでもありましたが、労働組合を作ろうと経営陣と揉め、暴行、ハサミ、椅子等でフルボッコ。
女性でも容赦なく胸やボディを狙い撃ちで。



そんな素敵なファストファッション界は世界の6人にひとりが働いていると言われています。



さて、ここから素材の話。

近年、この10年で80%のコットンが遺伝子組替え素材になりました。

農薬のリスクは?

モンサント社という企業が戦後、爆薬を窒素肥料としていました。

その企業が開発したBTコットン。
簡単に言うと殺虫剤入りのコットン。

種子の遺伝子を弄る→種子の独占→借金して農家に買ってもらう→殺虫剤も効かない→殺虫剤も売る→桶屋が儲かる!



さて、このリスク、知能、身体障害。
ですが企業は副作用を完全に否定。

生活に追われて治療出来ない→ガンの薬を買う。

もうお分かりですね?

ガンの薬を売るのも、種子を売るのも同じ企業です。

インドでは16年で25万人の農家が自殺しています。

生産者は、借金→払えないから土地を奪われる→最後は自殺。

こんなループ。



また少し話が変わって広告の話。

広告とはプロパガンダです。

自社製品を使うと欲求が満たされる。

実際に届いて、太って着れなくても別の物を買えばいい。

CMでは人生の問題点の解決は消費だという風に感じる物を流します。

現在、YouTubeで買った物を自慢する人も沢山います。



こんなインタビューもありました。

『昔はTシャツは買っても年2枚が、パーティ毎に今は買ってる。』

安い服は人生の慰め。



現在、洋服の生産数は年間800億枚とも言われています。

これは20年前の400%です。



使う物、例えば洗濯機、車。
これに対して消耗品、例えばガム、タバコ。

消耗品のように使う物を扱う。
消耗主義。

現在の洋服は消耗品。

この映画の中のCMで最高に笑わせて貰ったCM。

濡れたテーブルをスーツで拭く。

ペーパータオルよりスーツ3着買う方が安いから気軽に捨てられます。

って言ってテーブルをスーツで拭いてそのままゴミ箱へ。

流石にここまでやるかくらいの清々しさはあったけど。

そんなアメリカ人は現在平均すると一人当たり年間37kgの洋服を捨てます。

1100万トン。200年は土に帰らず残ります。



第3世界にはぺぺという病があります。
チャリティーという名の。

アメリカから贈られてくる大量の服の山。

使える、売れる物はそのうちの10%です。



インタビューで、

『昔は洋服の作り方を習いに来る人がいた。でも今は縫製を覚えても食べいけない。』

そんな事を第3世界で言ってました。



勿論、良い企業もあります。


パタゴニアは消費者という言葉ではなく、顧客という言葉を好む。』



気に入らなければ受け入れなければいい。

そう言って生産者を訪問、生産者にとっての障害を考えている企業もありました、映画の中で。

フェアトレードもして、生産者の優秀な人を本国の方に研修で呼ぶような素敵な企業。



…でもね、普通の人は気にしなかったかもしれない。
そんな素敵な事をしてる企業でさえ、生産者は誰も自社の製品なんか着ずに、サリー着てるのが現実なんだよ。



再び素材の話に戻ります。

口にする物はオーガニックを気にするけど、コットンは気にしない。

洋服作りのコストは事故、水、環境、そういう物を含めてコストです。



例えば革。

毒であるクロミウム6という物が川に垂れ流しです。

地下水も汚染→作物もやられる→やられた作物を食べる→皮膚病。

どれだけ環境がやられても、製品しか見ません。

石油に続きファッション産業は世界第2位の環境破壊産業です。

GDPは商品化された物です、生産に必要な環境経費は含まれていません。



この映画にはシーマ氏という女性が登場します。
胸とボディを狙い撃ちでフルボッコにされた彼女です。

余談ですが貧しいと言いつつ、スマホは普及しているようです。

その彼女のインタビュー。

『朝から夜まで作るのがどれだけ大変か着るだけの人は知りません。多くの人が死んだ血で出来た洋服。本当は血で出来た服なんて誰にも着て欲しくありません。』

涙ながらに語る彼女に、何というか映画館の空気が凄くしんみり、泣く人も。



世の中捨てたもんじゃなく、リヴィア・ファース氏のグリーンカーペットチャレンジっていう物もありまして。

グリーンカーペットチャレンジ



早く安く働かせている。
沢山買って本当は貧しくなっている。

リヴィア氏がH&Mの経営陣に現地の給料と基本的な生活の定義を聞いてましたが、勿論都合の悪い事なので返答はなし。

H&Mは現在年商180億ドルの世界第2位の企業です。



さて、そんな低賃金で働かされて生産者はキレないのか?
そんな疑問ありませんか?

カンボジアの賃上げ、日本でいう春闘の話。

賃上げのデモに対してカンボジア政府、警察に実弾持たせて導入します。

そんなに激しい要求はしてないですよ、月160ドルの最低賃金を要求。

この結果、23人逮捕、5人死亡という結果に。

カンボジア政府の見解としては賃金を上げるともっと安い国に生産地を奪われ、結果国益が下がるからという政府は政府でギリギリの戦いをしているからです。

生産者側はより良い生活を求めただけ、世間並みの生活を得れるように。



ここでもスマホを持った人を見たので、スマホの金額が気になりつつ。



賃上げを認めないし、組合も作らせない。

でも規制は自由制であくまで自主的な行動だと。

安い労働力がなければ利益は生まれない。

利益中心主義、どんなリスクがあっても。



話変わってシステムの話。

教育、交通システムは批判し改善してきた。
けど経済だけは改善されていない。

資本主義な限り、賃金は下がり続ける。

賃金も低く、年金もない、だからバングラデシュでの生産。



拡大や成長に無限はありません、自然にも。
とっくに限界は超えています。

システムの代価案か、物質主義を辞めなければ。



映画の終盤、最も物が売れるブラックフライデーの映像。

キラキラしたファッションの世界とリアルな生産側で画面が何度も切り替わります。

セールで人々が押し寄せる映像、それに対して搾取、病、破壊、貧困。

何度も何度も、キラキラと本来見せない裏側のドロドロとした世界が切り替わる。



シーマ氏。

『娘には私のように働いて欲しくない、娘にはこんな生活をさせたくない、政府の仕事に就いて欲しい。』




『人を物の様に扱ってはいけない。』



金は手段、利益は世界で分けるべき。



こんな感じで映画は終わります。



さて、最初の質問、貴方の着ている洋服の値段はいくらですか?

まだ、その洋服を着続けますか?

さて、個人の見解です。

ファストファッションがもたらした物はとても大きい。
誰もがお洒落が出来る様になった。

で、ファストファッションの縫製が荒いとか良く聞きますが、この値段では立派過ぎるよ、少なくとも学生が縫う洋服より遥かに綺麗。

ね、それよりもメンテナンス出来ないから捨てるしかなくなるんだよって。

高い服でも長持ちするかって別に値段に比例する時代じゃない。

でもファストファッションで失った物も色々ある。

パクりは当たり前だし、作る側は苦労するし、露骨な二極化。

上記のシステムが崩壊するのは恐らく3Dプリンタで誰でも洋服が作れる時代になった時で、そうなった時にじゃ、その数少ない仕事さえ奪われた側はどうなるんだとか色んな問題が新たに生まれる時だと思う。



全部が悪じゃないし、全部が正義じゃない。

8頭身のイケメン、美人に着せればなんでもお洒落に見えるっていうのはタブーだけど、そんな現実もあって。

それがようやく壊れ始めた時代。



洋服って本来高いんだよ。
大事にして下さい。



ザ・トゥール・コスト ファストファッション 真の代償