共感と未来を読むこと

ファッションは共感です。ファッションデザイナーの仕事は未来を読むこと。そんなデザイナー2人に言われた言葉。ファッションとお洒落がメインです。

デザイナーの本棚

本棚見れば大体その人がどんな人かわかりますよね?

今回はそんな話。
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恵比寿にあるEarth&Saltに凸してきたよ。
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洋服を作っても作らなくても何かと炎上するリトゥンアフターワーズの山縣氏セレクトの本+フロットサムブックスの小林氏が山縣氏のためにセレクトした本。

例えが正しいかはわかりませんが、自分の本棚に貴方にオススメの本持ってきたよって言われて本棚に差し込まれたような違和感。

結果としてファッション学ぶ人にオススメな本棚の完成という感じでした。

山縣氏を知らない人には何も違和感はないとは思いますが。

かなり偏りのあるセレクトなので合う合わないがはっきり出るでしょうが珍しい本が多々あるので凸してみてはいかがでしょうか?



INSPIRATION BOOK FAIR from flotsam books to Yoshikazu Yamagata(writtenafterwards)
〜2015年10月12日

毛皮デモ

まだまだ暑い日が続きますね。

街歩いていたらこんな人々を発見。
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毛皮デモ。
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はい、今日の気候は夏と言ってもいいです。



その毛皮は犬か猫の毛皮かもしれません。

…えっ?

服飾と呼ばれる世界に首を突っ込んで10年、珍しい毛皮も見せて頂きました、ヒョウとかワシントン条約的にそれはどうやって入手したって物も。

が、しかしですね、今まで猫の毛皮って見た事ないです。

犬もアイヌ民族が作った歴史的資料以外では見た事ありません。

流通してないよ。

少なくともこの国では。

まして毛皮って高いよね、一般的な感覚だと。

それをさ、よくわからないショップで買ったり貴方だったらしますか?

そして以前のエントリーからずっと書いているように他の生き物は無視。

蚕とか桁が違うって、殺してる数。

毛皮着なきゃフェイクファーをって言ってもあんなのポリエステル=プラスチック。

つまり分別すべき土に還らない素材。

環境的にファッションっていうのは基本悪です。

ある意味いただきますと同じで必要悪だと思う。

犬や猫、可愛い生き物を守りたいんですって主張だったら全然認めます。

ダシに使うなよ。



ここまで書いたから今後手入れの方法とかも紹介出来たらと思います。

シルク製品という命の塊

皆さんシルクの製品って持ってますか?

ファッションブログ読みに来る人は持ってると思いますが。

今回横浜にあるシルク博物館に凸してきたよ。
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学生の時に来た以来だから実に10年。
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その来なかった10年の間にシルクの進化は光ったり、蜘蛛の糸吐けるように改良されたり、その辺見れるかなぁってワクワクしてましたよ。

…えっ。
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めっちゃ寂れてる。

少なくとも透明な柱には玉繭がぎっしり埋め尽くすされていましたが、空っぽで。

照明も暗く、人もほぼいない。

…世間はFNOの日だっていうのに、何て事だ。

えーと、1Fはシルクの知識で、2Fは服の展示という形式になっています。

行った事ない人は是非行こう、寂れ方的にいつ見れなくなっても正直おかしくない。



このブログの過去のエントリーで書いた気もしますが、動物愛護団体が毛皮や革に噛み付いても今までシルクについて噛み付いた団体を知りません。

個人的には肉や魚を食べるし、それと同じで命使う時には感謝して使えばいいじゃないかと思ってます。

個人利益のために殺しまくるとかなら別の話になってきますが。

じゃ、シルク製品が出来上がるまでに具体的にどのくらいの数が犠牲になっているのか?

スカーフ1枚…110匹
着物一式…9000匹
ブラウス…415匹
ネクタイ1本…140匹

繭から成体になると当然繭を破って出て来るので、その前に煮沸して殺します。

使い物にならないから。

ちなみに、まゆるんっていうシルク博物館オリジナルのゆるキャラ…3000匹

…これはダサい。

寂れる理由のひとつかなと思いつつ、必要な施設ではあると思うので。



シルク博物館

大人の文化祭

服×絵×写真

過去のエントリーで書いたコラボ企画の続編、透明な澱-千-に凸してきたよ。
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最終日に駆け込んだので残念ながらこの展示は終わっています。
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前回は写真のバックに絵を。
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そして今回は服に絵を。
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千っていうのは壁に貼られた写真の数。
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実際はもっと多いんでしょうが。

aso氏曰く、大人の文化祭。

どんな意味が込められているのかは実際に凸した人限定という事で。

今後この文化祭がどうなるのか注目しようと思います。



透明な澱 千
〜2015年8月23日

はるかきみへ

永見由子

asosatoshi

3Dプリンタとこれからの服作り

はい、随分久々にこっちのブログ書きます。

今回はファッションの革命、ある種これからの時代のスタンダードになるかもしれない、そんな展示、渋谷東急で開催中のイリス展に凸してきたよ。

イリス氏を知らない人はまずはこちらのウェブサイトをご覧下さい。

イリス・ヴァン・ヘルペン

何故この人がヤバいのか、ストレートに書くと3Dプリンタで服作りをやってるからです。
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3Dプリンタで何が出来るか、簡単に言えば何でも出来る(笑)
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指輪なんかのアクセサリーのコピーはもちろん、医療機器、お菓子、デカい物だと家なんかも出来ますね。
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で、今回の展示、思ったよりも洋服ばっかりなんですよ。
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洋服ばっかりって不思議な表現だと思いますが、イリス氏液体でも固めたんじゃねーのって物を作り出したりするんですが、今回はそれ系の展示はなく、とにかく洋服。
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つまり着れる。
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オートクチュールで発表してるので普通に流通はしません、というか着れない。
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一般流通してるのは靴だけだと聞きます。
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これが流通してるだけでも十分凄いけど。
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バックに3Dプリンタを提供してる企業があるとも、鎧を作れる職人の協力があるとか色んなね、ここに辿り着くまでの諸々もありますが。



洋服を作る人、これからデザイナー志望の人に、わかりやすく脅威を伝えると例えばこの服、シームがサイドと肩にしかない。
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素材が不明ですがこれがストレッチ素材でない場合…
切り替え線もダーツもなくこのボディフィット感。
もちろんくせ取りとかで可能な世界と言えばそうですが、プログラムしてボタンひとつで…ねぇ?



さらにこちら。
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もしかしたらレザーか合皮で手作業によって切り抜いてる可能性は捨て切れないですが、これもボタンひとつでプリントされるとしたら?



もちろん素材、価格、現実になるまで越えるべき壁はいくつもあるでしょう。
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ただこれを見た時の正直な感想は、
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「自分で考えるよりも現実が未来にある。」
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どういうスピードで世界が動いてるのか、是非実際に確かめて下さい。



イリス・ヴァン・ヘルペン展
~2015年9月6日

手拭いと400年の歴史と変化

皆さん手拭いって持ってますか?

チーフあれば十分だろっていう現代でわりと謎のポジションアイテム手拭い。

それが消える事なく400年も続いているという事実。

青山スパイラルでの展示の最終日に凸してきたよ。
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なんでも手拭いの可能性を追いかけているうちにこうなったという14世、細辻伊兵衛氏。
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まずコンセプトがメタモルフォーゼという手拭いからのかけ離れっぷり。
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知ってる手拭いと違う。
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長っ。
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青山スパイラルの天井、推定10m前後はあるけど、その空間の使い方見事。
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というか手拭いという価値観をぶっ壊したなぁと素直に感心。
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400年も生き残るには時代にあった変化をするって事なんだなと見せつけられた気がします。

7月には東京の一部になるとの事ですが本場京都でも展示があるとの事なのでお近くの方は是非。



京都[永楽屋400年] 14世・細辻伊兵衛てぬぐいアート展
〜2015年6月28日

戦争は服を進化させる。そしてお洒落を殺す。

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文化学園服飾博物館で開催中の衣服が語る戦争に凸してきたよ。
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はい、懐かしの母校です、博物館は久々に来ました、日本指折りの服飾博物館です、あとは神戸にしかないけどね。



こんな言葉があります。

「戦争は服を進化させる。」

トレンチコートとかまさにそうでしょう。
名残がいくつも残ったデザインですね、知らない人は知らないままでもいいくらい。

今回はそういう服と戦争の関係について。

と言っても全部の解説は出来ないし、博物館の気になった所を紹介します。

最初にトレンチコートに触れましたが、今回は触れません(笑)
何故なら博物館になかったから。



まず、ミリタリーと言えばカーキ色でしょう、これが採用されたのは1904年。

今から100年以上前ですね、そこからこのミリタリーのイメージカラーになります。

冒頭に文化服装学院についてちょっと触れたので当時の歴史を。

知らなかったんですが1945年、終戦の時ですね、校舎焼失してます。
でも、翌年の1946年には授業再開とこの学校強いなって改めて思い知らされる…



さて、大正時代。

男児着物に王冠やビックベン等、イギリスを連想させる柄が入っています、これは日英同盟締結から来ていると言われています。

昭和7〜10年。

女児着物の袖に国旗を持ち兵士を力付ける子供達が、身頃には中国での戦闘風景が。

すでに嫌な気分になるような図案…

昭和12年。

着物に陸・海軍、高射砲等日中戦争の図案が入ります。

1918年、ヴォーグアメリカに日の丸の戦闘機が挿絵に書かれています。

1944年、イギリス。

スカーフの四方に、「鉄は戦車になる。」「ゴムは飛行機になる。」等、資源の供出を呼びかけるスローガンが入っています。

見た時に、うわぁ…ってなりましたね、巻きたくない…



軍服って何時から日本にあるのか?

少なくとも本格的に洋服文化が日本でスタートしたのは戦後70年の歴史しかないと言っても過言ではないですが、軍服は明治中期には洋服として日本に存在します。

陸軍を模した子供服は英雄としての憧れさえあったようです。

昭和10〜13年。

七五三では海軍や陸軍の礼装の写しが昭和されています、模した物とはいえ、かなり高価だったようです。

ちなみに袖口のラインで将官や軍医科等を表す役割をしています。



第一次世界大戦(1914〜18年)では女性の社会進出のため、コルセットの締め付けがなくなり、スカートは踝までの活動しやすい格好となります。

1930年代には各国でカーキ色のドレスが作られます。

もちろん軍服をイメージしている事は言うまでもないでしょう。

昭和13年。

軍と外貨を優先するために、綿、羊毛に対する製造・販売制限。

この頃から古着を仕立て直す更生服が登場します。

物資を軍に優先させるために、牛革も禁止に。
結果、水産加工品皮革と呼ばれる物が登場。
鯨、鮫、鮭、鱒、ウツボ、海亀、カエル等、水辺の生き物の革ですね。

鮫革の靴が展示してありましたが、パッと見カッコイイ。
皺の入り方も牛や豚とは違いますが味があって。
ただ、耐久性がないのが現代であまり流通しない大きな理由でしょう。

昭和10〜15年。

この辺で戦争の影響が露骨に出てきます。
着物の需要が落ち込み、輸出制限により和服用反物が市場に余ります。
余った和布で洋服を仕立てていたようです。

昭和14年。

襟、ボタンをなくし、スカート丈もやや短くなるなど、生地をより節約したデザインへ。

物資不足がデザインにも影響してきます。
この辺は戦争が服を進化させるという言葉とは逆に服を退化させている気がします。



博物館で見た中でも空気感がとても重かった物。

千人針。

実物は初めて見ましたね、兵士の無事を願って色んな人が手拭いに刺す、言うなればお守りのような感覚でしょうか。

千人針が登場したのは日中戦争(昭和12年)以降だと言われています。

「死線(四銭)を越える」って意味で五銭硬化が縫い付けてありました。

本当、戦争で得れる物って何なんだろう?

昭和15〜20年。

防空頭巾の登場です。
空襲に備え、名前、住所、血液型等を書いて縫い付けられています。

昭和15〜18年。

農林省が兎の飼育を呼びかける。
防寒用軍服の材料、航空機の資材になる兎の事を軍用兎と呼ぶ。

政府が動物の飼育を呼びかけるってよっぽどな世界だと思います。
飛行機の資材って事ですが、具体的にはわからず…



昭和15〜20年。

高島屋で販売されたレディーススーツ、一見麻に見えますがテープ状にした紙に撚りをかけた糸を織った物。
紙糸布は鞄、帽子に戦前から、戦時下には様々な洋服となる。

当時の高島屋ですよ?
今の時代よりもよっぽど百貨店が力を持っていた時代。
そこで紙で出来た服が売っているという事実。
現代でもあるんですかね?
服が余っている時代に紙で作る必要がないと思うのでまず特殊な条件でなければ存在しないと思いますが。

昭和17年。

「被服報国」「軍民同装」のスローガンの下、「国民服」や消防活動を妨げない「婦人標準服」が定められ、制度上、衣服の自由が妨げられた。

はい、いよいよ戦争が服を進化させるとは別のベクトルになります。
戦争はお洒落を殺す。
みんなが同じ服装。
それはファッションではなく、まさしく衣料品と呼べる物がでしょう。
みんなが制服着てる状態、それも仕事も休みも関係なく。
最悪ですね。



昭和20年。

ポツダム宣言の受諾。
戦時中の服を着たり、放出した軍服を更生。

いよいよ戦後です。
放出した軍服、戦争終われば必要ないですからね、というより軍隊が解散した形なので、いらない物は当然流れ出ます。
それよりも大きな理由。
単純に物資不足だったんですよね、戦後は。

戦後、休刊していたファッション誌が復刊します。

昭和25年。

文化服装学院青空入学式。

昭和20年代。

羊毛は貴重でした。

学生服はボタンを取り替えて兄弟や親子二代に渡って着続けるのは珍しくありませんでした。

展示されていた学生服は傷んだ表地を裏返して仕立て直していたため、ポケットの位置が左右逆に、元のボタンホールはミシンで塞いでありました。

明らかに現代よりも服を大切にしています。
時代が時代だったからというのはもちろんあるでしょうが、この感覚は現代の人にも知って欲しい、持って欲しい感覚です。

昭和20年代前半。

女性用の上衣は海軍の服をブレードや階級章を取って体格に合うように仕立て直す。

男性用の上衣は陸軍の服を立折襟から開襟に変え、金ボタンを四つ穴ボタンへ。
軍刀を吊るすためのベントも当時の背広に習って縫い合わせてあります。

余った軍服をどう更生服にするか、時代と人にどう合わせるかが見れました。



戦後復刊したファッション誌。

古紙や砕木パルプを利用した低質。
洋服を中心に紹介されるが、物資不足から和服や手持ちの布地を用いた更生服の提案、着まわしの工夫の生地等が中心だったようです。

昭和30年代になると用紙の統制も撤廃されます。



余談、江戸時代は何故、カーキ色やカモフラージュ柄等、目立たない物とはかけ離れていたか?

それは、日本古来の「やーやー、我こそは〜」と名乗り始まる武士同士の武功を競い示す場だったからです。
言うなれば、戦場=ハレ場。

現代でも戦争に表面上のルールはありますが、名乗ってたらその時点で撃たれますからね、江戸時代はヒーローが変身中に絶対攻撃されないのと同じような粋があったんでしょう。



と、これで博物館レポ終了。

まとめ。

戦争は服を進化させるかもしれないけど、お洒落を殺す。

当時と今はそれこそ70年違います、時代も常識も。

もちろん今も戦争用に開発されている服への技術はあります、特にステルス素材は透けるレベル。

友人と話していて考える現代は、洋服とか戦争に関係ないです。

それこそ無人機で爆撃出来るから。
寝起きでパジャマを着たゲーマーが空襲をしてベッドに戻る。
これが今後の戦争でしょう。

もしくは機械その物が服になり得る、戦闘機VS人っていう構図はやる前から勝敗が決まっています。

現在、憲法改正という非常にタイムリーな話題の中でのこの展示でした。

ファッションに戦争がプラスかマイナスか?
それを考えるひとつのきっかけとして是非この展示に行く事を勧めます。



衣服が語る戦争
〜2015年8月31日